ワレワレマダ、ホントウノ、「生物多様性」ヲシラナイ
クーリスマスが、ことしも、やぁってくるー♪
楽しかっ・・・
こんにちは、nkjmyです。
この記事は、数学カフェアドベントカレンダーでの12/24の記事です。
え?なに?お前、数学とかやってたっけ?という感じやし、
アドベントカレンダーの締めくくり日の前日(最後は数学カフェさん)になんか陣取っちゃって申し訳ないという気持ちも多少あったりなかったり。
この記事も本業が忙しくなることを見越して前もって書いてます
(12/23現在、他の方々の記事ががっつり数学すぎて、この記事誰得やねんと思ったことをここに加筆)
さて、数学カフェさんに参加した経緯(去年〜)を書いて誤魔化すということも考えましたが、
今年、ちょっと趣味的に読んだ数理生物学っぽいネタをここに(日曜数学会さんで使った)ネタの使い回しとして、投下しておきます。
今年読んだと言えば、
「今年読んだ一番好きな論文2017アドベントカレンダー」にも参加していますので、
むしろそっちをry
さて、本題ですが、
生物多様性ってなんですか?
ニュースやら、もうしかすると学校の授業なんかでもn>0回くらいは聞いたことあるかと思いますが、
なんかわかるようでわからない。
生物多様性が危機に瀕して(125,000件)
生物多様性への理解を深め(492,000件)
このワードをそのまんま検索してもこんだけ出るのに、じゃあその言葉自体なんやねん?と。
どうすれば守ったことになるのか
なにとなにをくらべて危機に瀕してるのか
そういうこともちゃんと評価せねばなるまい?と思うのです
たとえば
赤線内の生物多様性はどちらが多様か?と聞いたら、まぁおそらく十中八九、左と答えられるでしょう。
では、
これならどうでしょうか。みんな大好き、滋賀県の地図を使ってみました。
・そもそも枠の大きさが違う
・水たまりの部分と山の部分、街中の部分がある
など、「自明」とは言いづらくなるのではないでしょうか?
たとえば、最初の例でなにを我々が思ったかというと、
「きっとアマゾンのジャングルにはたくさんの生物がいるやろうけど、砂漠にはあんまおらんやろ」
ということかもしれません。
「きっとアマゾンのジャングルにはたくさんの生物がいるやろうけど、砂漠にはあんまおらんやろ」
そう、例えばどうやって定量的に評価するかは、
・(生物の)種数が多い
とか
・個体数が多い
ということが挙げられます。
つまり、150種類の生物がいる池と、2種類くらいしか見つからない池では前者の方が多分多様やろうし、
魚が2匹よりも200匹いる方が良さそうやろうということ。
ではこれならどうでしょう?
こういう謳い文句の水族館A, Bがあります。どちらにいきたいですか?
どちらでもいいですか?
Aにいきたい、と選んだあなた、
ラインナップはこうなってます。
楽しんでください。
Bを選んだあなた、
こんなラインナップです。
きっと我々が想像する「200種3000匹」ってこいうことではないですかね?
(*きっと普通の水族館はもっと種数も個体数も多いと思います)
つまり、
種数と個体数だけではなく、「満遍なくいる」ということも重要なんだろうと
(こっからは一気に自分のスライドのコピペ祭りです)
相対比pはそりゃあ、それぞれの種に関するものを足せば1ですよね。
そんで、「いる」んやし、0以上(というか0も普通は含めなくてもいいような気もするが)やね
という当たり前のことを書いています。
つぎに、たとえばカメさんとカエルさんを比べた時に、「どのくらい似ているか」という数字も考えることにします。
遺伝子をつかって系統樹とか描いてる人々にとっては、相同性は、塩基あるいはアミノ酸配列の馴染みがでかいですが、
この場合、そういうのでなくても構いません。
(論文中には、同じ種なら1、別種なら0という極端な与え方も書いていましたし)
準備が整ったので、多様性についての計算式を。
ここでいうrare speciesとは、「かいじゅうのくちを調べたい」でも書きました。
要は、相対比pがすごい小さいような種を重視するかどうかです。
qを大きくしていくと、ある環境にいる数が多い種だけで評価しやすくなるという感じですね。(式を見ると頻度pがいろんなところで出てきます)
みたらわかりますが、q=1, ∞のときはこれではどうにもなりません。referenceをみてください笑(そこまで準備する余裕はない)
多様性を計る式に出てきた、(Zp)iは、とある種と、それ以外の種の相同性を計算していき、「どんくらいの頻度でそれがいるか」を掛けます
重要なのは、評価のために、「とある種と別の種」について計算し、それを全部に関してやる・・・というもの
つまり
めっちゃ大変
それぞれに関して相同性も分かってへんとあかんし、頻度pも必要。(やからこそ、最初の相同性が遺伝情報じゃなくて0・1でもと書いていたのは、ここで消去しやすいから)
工夫編として
こうやってすっきりさせることも可能。
あるいは上に書いたように
0・1にすると
あら、すっきり。ということで、これを「シンプソン多様度」(の逆数)というようですね。
あるいは、q=2以外にも簡単にできるのは、q=0の時で、
ものすんごいシンプルにできました。
まぁ、これ、
多様性=種数
となるので、上述の水族館問題ががががが
見積もりをシンプルにしすぎると、評価も雑になり、真の?多様性を見逃すことにもなるというのは、数式的にもなんとなく言えるんかな?(知らんけど)
相同性は遺伝子による基準がいいかもしれないというのは書かれていました。
(実際、微生物の群集構造解析なんかはそうやって評価してるはずです。)
この後、エントロピーの話へと繋がり、
Maximum Entropy Problemという話になっていきますが。今回はボリュームがボリュームだけにこの辺にしておきます。
が、
なぜそういう話になっていくのかというと、ちょちょっといじるとここでいう多様性の式を
こうやって、エントロピーがらみに変換できるようなのですが、
では、群集内のエントロピー(多様性)を最大化するための各種の頻度piはどういうものなのか、一意に定まるのかという問題に進んでいくようですね
遺伝子の相同性を用いるなら、系統樹も描けるわけですし、
その場合、系統樹の枝の長さとかも、評価に使えるわけです。
その辺を、
こうやってAKBとして算出する考え方も紹介されていて、「AKBのエントロピー」なんつって。
というわけで、ネタの使い回しでしたが、
今回の内容を書いてある、元論文?レビュー?は
‘Measuring diversity: the importance of species similarity.’
Leinster T, Cobbold CA. (2012)
‘A maximum entropy theorem with applications to the measurement of biodiversity’
Leinster T (2009)
です。
もちろん生物寄りの話でもまだまだ「多様性指数」っていろいろありますし、
これだけが評価ではないです
しかも今回は数学的な証明や厳密性も多少ごまかしてますが、
数理生物っぽいことから、生物の面白さ的なことも興味を持ってもらえれば幸いです。
終わり