フラスコを振る

某研究機関で研究やってる人の日記です。科学や(自分の専門の)生物をもっと楽しんでもらいたい。Twitterは@nkjmu。

「一般向け」って何か考えてみた

こんにちは、nkjmyです。

 

3連休+今日+明後日からの土日って、俗に言う、「シルバーウィーク」らしいですね。

さすがシルバー、飛び石すぎてゴールデンになれへんかった感がすごいです(違)

 

さて、前回の「イベントに参加してきた」の最後の方で触れたように、ちょっとそのイベント内?場外?後夜祭?でも話題になったことについて自分なりに考えてみました。

 

再度言っておきますが、私自身は、発端となった「無限論」の話は好きでしたし、発表者の方の信条、「みんなに知ってほしいこと」というのは素晴らしかったです。

そういう感情論を抜きにして、ただ1つの意見として読者の方に考えてもらうきっかけになればと。

 

 

 

さて、ことの発端は私もちゃんと把握していませんが、こちらの観測から察するに、

「無限論の教室」という本があり、数学が専門じゃ無い人?「無限」というものをわかりやすく知ろうと思って買った人にとって、それが「これめっちゃよかった!」っていうものらしいのです。

 

(私は読んでいないので知りません)

 

ただ、発表者の方曰く、数学的な正当性?というのでしょうか、論理展開?として、間違ったところを含むため、「(一般向けの本は)読もうという気持ちにならん」ということらしいです。

(らしい、が続くことからわかるように私の観測の範囲内でしか書けないので、間違っていたら後で誰かこそっと教えてください。修正します)

 

アレフ0や連続体仮説が今回の発表内容だったのですが、

これら「無限」の話と「ゲーテルの不完全性定理」は自明な部分では数学的なつながりは無いということをおっしゃっていたかと。

 

当然、自分には、つながりがあるのか無いのかわかりませんし、

むしろ、「証明も反証もできない命題が存在する」という点において、なんとなく「連続体仮説もそれの1つか」くらいに思っていたので、これはこれで興味深い。

 

「一般向けの本」というのはしばしば「例え」や「キャッチーさ」を優先し、科学的(数学含)正当性を犠牲にしているものがあるというのはあるように思います。

 

あるいは、詳細な説明・論理展開を省いたことによる「余白」が読者に別のイメージや拡大解釈を与えてしまうとか。

 

本人と別話題で話していた時に、厳密な言葉を使わないとアレルギーが出る人(笑)らしいので、たしかに、その本の中身はもしかすると、「ちゃんとした物を読んで知識として吸収したい」という欲求から考えると、「読みたくない」は当然の結果なのかもしれません。

 

 

が、

 

「正しさ」と「間違い」、「一般」と「専門」の境界線を把握するために読むという選択肢もある

 

と思うんです。

 

本のすべてが間違いというわけでは無いでしょうから、

 

どういう順序で何を書き、何を削るとどうなるのか、

(むしろ)それをちゃんと吟味できるのは、専門的にちゃんとわかっているからこそではないでしょうか。

 

それを、次にどこかで話す時に

「こういう勘違いもありますが、こうなんですよ」って言えるってのは、よりその分野を広く伝えるために有効打となるのではないかな?と。

 

全てを正確に話さなくても、ちょっとした言葉遣いで、「余白」が「勘違いや拡大解釈」の方向ではなく、「説明に足りていない部分がある」ということを連想させられるかもしれません。

 

 

たとえば、自分の新種探索について高校生やサイエンスカフェで説明する場合、

 

 

細菌の新種かどうか探索する際に「16S rRNA」という領域を調べます。その結果、

「相同性が97%以下なら新種」ですよ。

 

 

 

とは言いません

 

 

細菌の新種かどうか探索する際に「16S rRNA」という領域を調べます。その結果、

「相同性が97%以下を新種の目安」にしています。

 

 

というような言い方にしていますし、

 

「97以上だからといって新種にならないわけでは無い」

「新種候補を色んな生理試験で調べる」ということも付け加えることもあります。

 

「なんでその領域なんですか?」と聞かれたら、

お手軽だからであって、実際は、DNA-DNAハイブリダイゼーションという方法で70%以下の相同性になるというのが必要で、必要条件・十分条件の関係が〜〜〜〜

 

と説明することもあります。

 

 

まだ、この部分について自分自身、説明のクオリティアップが必要だとは思いますが、

少なくとも、これで「16S rRNAの相同性97%が絶対」という勘違いは生まないはずです・・・多分

 

 

例えが長くなりましたが、

それもこれもちゃんと知ってる側だからこそできるので、

是非とも、アナフィラキシーショックにならない程度に一般書も手にとって、もっと奥深い無限論を我々門外漢に伝えてほしいです。

 

アレフ2、3、・・・はどういう無限なのか、作れるのかという質問に対し、

 

どこまででも作れるけど、

それがなにかはわからない!!!

 

ってのは好きでしたね。例えられないものは例えられんのですよ。

 

自身、あるいはそこそこ可算、非可算や、連続体濃度?を知ってる人の満足度は下がったでしょうけど、

 

アレフ0がどういう無限かの説明で、「1対1対応ができる」として、その例で、

自然数、整数?だけで、有理数の説明が「うまくやればできる」に留まったのがあれやったかも。

 

あるいは、「なぜ実数の無限はアレフ0にならないか」というところ、

あの小数第1、2、3、4、5、・・・から数字を選んでいくと「あぶれる数」が作れるっていう説明があると、もっと、初歩の初歩の地点において「アレフとは何か」が伝わったかも・・・?

 

 

 

発表者でも専門分野でも無いのに偉そうに!!

・・・すみません・・・

 

 

ちなみになぜそう書いたかというと、

「自分が知った・習った順序を追体験できるように話す」

というのをなるべく心がけて私自身は、高校生や一般向けのスライドを作っています

 

知ってる人からしたらわかりやすい、論理展開が真っ当で、

噛み砕いた説明でも

 

(スタート)1------------------10(ゴール)の

 

5.5 - 6 - 6.5 - 7 - 7.5 - 8 - 8.5 - 9 - 9.5 - 10

 

だとしんどいこともあるはずなのです。

 

なので、時間や聴衆にもよると思いますが、

 

1-2-3-4-5-6-7-8-9-10とか、

 

1 - 1.5 - 2 - 2.5 - 3 - 3.5 - 4 - 5 - 6- 7

 

の方がいいこともあるかと。(学会発表などはその限りではありません)

 

 

最初から無限論や微生物の遺伝子解析を分かってる人はいないので、

自分が中学の頃、その分野で何を知っていたか、高校だとどうかというのを参考にすればいいんちゃうかなって

 

 

 

・・・・・・私も精進します・・・

 

 

ではでは

 

今日はこの辺で

 

終わり