久々のネタがまたもや「変な新種」についてな件
こんにちは、お久しぶりです。
なんやかんやと1ヶ月以上空いてしまいました。
というのも、5月は色々忙しくてですね、
書こうと思えば書けたんですが、伸ばしまくってたら、なんか梅雨入りしてた。
学会準備とか論文とか来年度のポスドクポジションについての申請書とか。
はい、というわけで、今回のネタも、タイトルにあるように、
「変な新種」について。
これはここでも去年書いているとは思いますけども、
「Top 10 New Species」というものをさくっと紹介しようかなと。
とりあえず去年の記事は
これ。
毎年1回、分類学の先駆者、リンネの誕生日(頃)に合わせて、
その前の年に記載された新種の中で、特筆すべきものを10種選ぶというもの。
前回の記事は、海洋生物に限っての特筆すべき新種ということでしたが、
これは海洋に限らず、なんなら、化石種もよく選出されている。
というわけで、今年の選出がこちら
(全部解説するのもあれなので、端折りますが)
ぱっと見た時に、写真で目につくのは、
オランウータンらしき写真・・・
学名を「Pongo tapanuliensis」というそうな。
Pongoはオランウータン属の属名
~ensisは、from~的な意味なので、
Tapanuliというところで見つかったんかな。と思って調べたら、
普通にWikipediaに載ってた。さすが。
霊長目とかヒト科なんて、今の時代、そうそう現生種が見つかることなんてないやろー
というイメージ通り(化石種では、去年だか一昨年のTop 10 New Speciesでも選出されていたので)、
1929年以来の現生種らしい。
(ちなみにNatureの記事もある:
Newly discovered orangutan species is also the most endangered : Nature News & Comment)
Top 10のサイトによると「In 2001, the orangutans of Sumatra and Borneo were recognized as distinct species, Pongo abelii and P. pygmaeus」とあるので、
そもそもオランウータン属の他の2種も2001年までは1種とされていたみたいですね。
オランウータンの隣の写真は、
Pseudoliparis swireiという、112mmほどの小さな深海魚で、
ただ、その生息水深が約7000〜8000mくらいというとんでもなく深いところのよう。
こんな超深海では、生態系の一番頂点なのでは?といった風に書かれていますね。
めちゃめちゃでかい木(高さ40m)も選出されていますね。マメ科植物で、果実?が50cmにもなるような。実は発見自体は100年ほど前やけど、記載が去年ってことかな。
その他、アリの巣にカモフラージュして住んでる?甲虫(Beetle)のNymphister kronaueri (Baffling Beetle: Camouflaged hitchhiker)とか、同じく甲虫(Beetle)から、洞窟という暗闇で生活しているXuedytes bellusとか。
あるいは植物からは、Heterotrophic Flower: Magnificent moocher(従属栄養性の花:壮大なタカリ屋?)と書かれているSciaphila sugimotoiも選出されている。
(Heterotrophic Flower | 2018 Top 10 Species | ESF Top 10 New Species)
植物というと光合成(つまり独立栄養)するというイメージが強いかもしれないです。
ってか、採取地、Ishigaki Island(石垣島)ってのも驚きなんですけど。
調べると神戸大学によるプレスリリースが出てきますね。
光合成する植物以外にも、ここにあるように、
キノコやカビなどの菌糸を取り込み消化する「菌従属栄養植物」というのが存在しているとのこと。
うん、たしかに光合成をやめた(しない)、ランは聞いたことあるかもしれん。これはホンゴウソウ科というグループに属するようですが。
さて、肝心の微生物からの選出は、というと・・・
これまでのどのグループにもあまり近縁ではないProtistである、Ancoracysta twista
Protist | 2018 Top 10 Species | ESF Top 10 New Species とか。
Protistは真核生物の原生生物のことですので、高校までの五界説でいう原生生物界のアレ。
採取されたのが、水族館のサンゴの中からってのがすごいですよね。それでいて系統関係不明なProtistとか取れるんかよ・・・っていう。
さらに今年の選出は細菌からも出ていて、
それが、Thiolava veneris
Volcanic Bacterium | 2018 Top 10 Species | ESF Top 10 New Species
写真がわけわからん感じになっていますが、Venus hairと呼ばれるこれが、細菌の集合体で、フィラメント状の微生物マットなようです。
海底火山?周辺に2000平方メートルにもなるこのVenus hairを形成していたらしい。
Scientific Americanというアメリカの科学雑誌(日本では日経サイエンス)のサイトでも扱われていました。
Bacterial Hair on Undersea Volcano Unlike Any Seen Before - Scientific American Blog Network
トリコーム(trichomes)と呼ばれる、長い連鎖がゼラチン状の鞘の中にあって、絡まるように?フィラメントを形成しているんかな?(図を見る感じ)
という訳で、ざざっとですが、(しかも発表されたの先月やけど)
毎年恒例の変な新種紹介でした。
来月は学会。発表が1日目なので頑張って、
そのあとのミキサーをたのしみたいところ。
ではでは
今日はこの辺で。
終わり