フラスコを振る

某研究機関で研究やってる人の日記です。科学や(自分の専門の)生物をもっと楽しんでもらいたい。Twitterは@nkjmu。

自分の腸内細菌調べてもらった

こんにちは、nkjmyです。

 

随分前になるんですけど、某国の研究所(というか研究室)が行なっているヘルスケア系のプロジェクトで、いろんな人の腸内細菌を調査するっていうのがあって、それにサンプルを送っていたんですよ。

 

自分の生活習慣とか、アンケートに答えて、糞便(米粒くらいを液に溶かしてチューブに入れる)を送るんです。

 

 

そうすると、実際の結果を元にその研究室では、

「どういう人がどういう腸内細菌叢か」というデータが調査できるというわけです。

 

腸内細菌叢というのは、

どういう細菌が、どれくらいの割合いるか

と思ってもらえれば。

 

腸内フローラという単語もしばしば耳にしますね。同じ意味です。

 

 

今回はヒトの腸内という環境での細菌叢を調べてもらったわけですが、

別にヒトじゃ無くても他の動物でもいいし、

なんなら、海水とか土壌とかそういう別の環境でもいいわけです。

(私の専門分野の人々はどちらかというとそちらに近い)

 

つまり、

どういう環境にどういう細菌がどれくらいいるか

というのを調べることで、その環境において細菌(だけじゃなくてもいいんやけど)がどいう役割を果たしていそうかとか、そもそもその環境はどういうものであるかとかの手がかりになるわけです。

 

遺伝子解析の発達によりそういう、環境丸ごとドドんと解析ということが可能になって来ているのです。

 

 

ほんで

 

 

まぁ、2、3ヶ月前に送ったわけですよ。

 

 

結果として送られて来たデータ?はA4の紙に表裏1枚。

 

まず、主な腸内細菌がどれだけ(何%)いるかというもの。

 

下記の名前は種名ではなく、基本的に「属名」だと思われます。

解析手法的に、種まで決めるだけの情報は得られないので、分類的に種の1つ上、属レベルで「こういうやつら」ということを調べています。

 

 

(他のヒトのデータがどうなのかわかりませんが)自分のデータは、

 

・フェイカリバクテリウム:1.8%

ビフィズス菌:6.1%

 

という2種についてが載っていました。

 

特性の項目を見ると、

フェイカリバクテリウムは、酪酸を生産し、腸内が正常に働くのに重要

ビフィズス菌は、酢酸と乳酸を生産し、腸内が正常に働くのに重要

とあります。

 

特性の項目には、他にも、

バクテロイデス、プレボテラ、メガモナス、クロストリジウムなど、いくつかの細菌が載っているんですが、自分の腸内にどれだけいたかはわかりません。

 

フェイカリバクテリウム、1.8%は果たしてどうなのかというと、

各割合に応じた、被験者の人数分布が載っていて、それによると、

5〜10%、10〜15%のバーが多いですね。

0〜5%は15〜20%と同じくらいの数であることを見ると、

1.8%は少なくとも平均以下、比較的うちの腸内には少ないんでしょう。

 

ではビフィズス菌6.1%はどうか。

 

これは1〜5%が一番多く、2番目は0〜1%のバーです。

5〜10%がそれに次いでいることから、ビフィズス菌についてはたぶん平均以上かなと。

 

裏を見ると、

腸内細菌叢全体を見た際に、その傾向が、8つのグループのどれに近いかというものが載っています。

 

私は、

バクテロイデス、ブラウディアと呼ばれるグループが多いそうです。(円グラフを見ると、2つで50%超えそう)

 

特徴は、

若年傾向。軟便が多い。根菜、野菜などの摂取頻度が低い。喫煙習慣がある。

でした。

 

若いのはあってる。

(便についてはよくわからん)

根菜、野菜があんま食べてへんのもそうです。

喫煙習慣は無いです。吸ったことすらねえ笑。

 

でもまぁ便秘傾向でもないし、水様便でもないから、多分喫煙以外のことに関しては結構合ってるんかも。

 

他の、

男性に多いとか

運動習慣についてとか書かれているグループの円グラフと似ている部分もあるし。

 

すでに一般からの被験者募集は終了しているようです。

 

 

ちょちょっと環境サンプルの微生物叢(微生物群集)のデータを持っていたりいじったことがある身としては、

自分自身のサンプルにおける、門・綱くらいのでっかいグループの割合でもいいからグラフとか数値でもらえると嬉しかったなぁ。

 

さすがに、各種(正確にはOTU)がどんなんやったか、ましてやその遺伝子配列の情報まで報告書としてもらえるとは思ってへんけども。

(普通の人は、それもらっても、「あ・・・はい・・・」ってなるだけ)

 

 

 

無料では無いですが、自宅で簡単にできる腸内細菌叢の検査は、

私も某短文をつぶやくSNSで知りましたが、サイキンソーさんというところでやられているようです

 

今回無料でやっていただいた検査結果よりも、やはり個人向け有料サービスということで、より詳しくデータをいただけるようですね。

 

腸内環境のモニタリング、健康チェック?の一環としてこういうことを知っておくという時代なのかもしれません。

 

ちなみに、こちら

Mykinso ラボ(マイキンソーラボ )| 専門家がつくる腸内フローラの情報サイトにはいろんな記事があって興味深いです。

 

 

ついでに雑談ですが、数年前、ラボのゼミで他の人が紹介していたのですが、

個人の腸内細菌は、そのフローラを見ると構成パターンによって個人特定が可能とも言われています。

 

(比較的わかりやすい記事、その参考文献はこちら

【科学ニュース】体内の微生物叢で個人特定、プライバシーに問題も | お知らせ | 科学検定

 

法医学方面でもこういう話は聞いたことがありますね。

 

たかが腸内細菌、といってられない。

 

 

ではでは

 

今日はこの辺で

 

 

終わり