高校生物の重要語選定について考えた
こんにちは、nkjmyです。
始まりましたね、ノーベル賞week。
生理・医学賞は、
「概日リズムの制御に関する分子メカニズムの発見」ということで、
C. Hall博士、M. Rosbash博士、M. W. Young博士に授与されることになりました。
物理学賞は、「重力波の検出」、
化学賞は「クライオ電子顕微鏡の開発」となりました。
生理・医学、化学の受賞理由の簡単な解説まとめは日を改めてできればいいなぁ。
(ただどちらもめっちゃ知ってるというわけではないので、ちょっと調べ物はせねばならんけど)
さて、今日書きたいのは、タイトルにある「高校生物」の指導に関すること。
数日前にニュースになっていたのですが、
それがこちら
「高校「生物」脱暗記へ 学ぶ用語4分の1に絞り込む指針」
高校生物「重要用語」現行の4分の1へ厳選…日本学術会議 | リセマム
高校生物「用語多すぎ」 2千→512語に厳選を提言:朝日新聞デジタル
これについてちょっと考えたことを書き連ねます。
高校で生物を履修されていない方にはイメージがつきにくいかもしれませんが、
同じ高校の理科である物理や化学(と履修者は少ないが地学)と比べて、「重要」とされる単語が2000語と多いようなのです。
たしかに物理(少しだけやけど)と化学(こちらは丸々)と生物をやって、
生物と化学で大学を受験した直感的な感想を言うと、生物は単語が多い気はします。
(ただ記事などには物理や化学の重要単語数が載っていなかったんやが、どれくらいなんやろう?また、後述の日本学術会議の資料には、歴史系科目も単語数が多いとあった)
そりゃあ、一部の単元を除き、理論とか計算とかが出てこない高校生物なのでしゃあないですよね。
数字や前提条件を変えれば色々問題の作れる物理や化学、あるいは数学とは異なり、
高校生物で扱っている実験、観察などは基本的に「正解と考えられるもの」があって、
それにどうアプローチするかもあまり変えようがない。
メンデル遺伝は中学理科に降りたようなので、余計に。
小説などを読んで、どの人物がどこで何して、なんて言ってたかを正確に記述する
そういう「ストーリー重視」な学問というか科目やから・・・ね。
さて、提言されている、
「用語を減らして考える力を」これは重要語を減らして果たして実現可能なのか。
もちろん、今回の提言は、「重要語」に指定するかしないかであって、教える教えないとは別問題ではあります。
が
じゃあ何のために減らすのかよくわからんくない?
というのが率直なところ。
結局、考える力を見るためのテストや試験、入試なら、持ってる知識を総動員して論理的な考察、記述が求められるわけで。
重要語のリストを見ましたが(http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-h170928-1.pdf)、
例えばこれを軸に、考察するような問題が果たしてどこまで生物の面白さを学べつつ、それを育むものになるのか?と
もちろん、何度も言うように(そして上の記事にあるように)教えないとかではなく、太字にしないという提言ではあるが、
例えばセンター試験とか定期テストって、「じゃあまずは重要語から」って感じで出すのでは?
二次試験はそうでもないかもしれんし、大学によっては元々イレギュラーな出題してくるし笑
動物の胚発生でも、遺伝の範囲でも、生態でも分類でも進化でもいいんやけど、
選りすぐりの要素だけで良いストーリーを組み立てられるのだろうか。
どこかの記事に、
各分類群の名前を覚えるのではなく、その多様性や系統進化の仕組み、それらの違いを〜〜みたいなことをやってほしいと提言の中身?インタビュー?が載ってましたが、
それならなおのこと、いろんな分類群をちゃんと知った上で、それらの違いを習えるように整えておく方がいいんちゃう?
脊索動物(哺乳類や鳥や魚など)、節足動物(エビとかカニとか昆虫とか)、線形動物(センチュウ)、軟体動物(イカ、タコ、貝類など)が重要語になっていますが、
じゃあ、ウニやヒトデが含まれる棘皮動物は?
サンゴやイソギンチャクの刺胞動物は?
動物の中で最も原始的と言われる海綿動物は?
発生の分野やならウニは出てくるし、
共生とか環境問題ならサンゴは出てくるやろう。
動物界といわれるグループを語る上で海綿は必須になるやろし、
果たして上記の重要語だけで動物界の多様性や進化、それぞれの分類群がちゃんと理解できるのか?
これは他の単元でも似たようなことが言えると思います。
つまりはテストや試験そのものを変えんと意味がないのではないかなと。
語数を減らして、結局そこから知識問題出したり、
「それが入試に出やすいから」ってなったら元も子もない。
とりとめもなく書きましたが、
今日はこの辺で
終わり