フラスコを振りながら

某大の博士課程の院生の日記です。科学や(自分の専門の)生物をもっと楽しんでもらいたい。

今年のイグノーベル賞について書いてみる

こんにちは、nkjmyです。(以下、投稿を忘れていたので、日曜日に書いているテンションです)

 

三連休の真ん中、台風が来ていますが、皆さん如何お過ごしでしょうか。

 

私は、台風直撃中の九州は福岡におります。

友達の結婚式参加のため。本当は今朝飛行機で来るつもりやったんですが、

まぁ、飛ばんやろということで昨日前日入りしました。

 

さて、金曜のことですが、あの有名な科学賞

 

イグノーベル賞の発表がありました。

ノーベル賞ではありません。ノーベル賞も有名ですが、そのパロディイグノーベル賞もまた有名です(たぶん)

 

 

なんと日本人が11年連続?でイグノーベル賞を受賞したということでいくつかのニュースでは取り上げられていましたし、ツイッターでも一時的にトレンド入りしていましたね。

 

今日はその日本人研究者の受賞内容について少しだけまとめてみようと思います。

(気力があれば他の受賞理由も簡単に紹介)

 

 

さて、そもそもイグノーベル賞とはなんぞや?ということなのですが、

「1991年に創設された人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究に対して与えられる」ものと定義されています。

 

単に面白おかしいというだけではなく、皮肉的な受賞ももちろんありますが、

「考えさせる」という点も重要ですし、(賞によって微妙に異なりますが)学術的にちゃんとプロセスを経たものも多く存在しています

(もちろん今から紹介する今年のネタもです)

 

過去の受賞理由については

イグノーベル賞受賞者の一覧 - Wikipedia

こちらを見ていただく方がしっかりとまとまっています。

そして日本人だけにフォーカスしたページがこちら

イグノーベル賞日本人受賞者の一覧 - Wikipedia

 

1つ1つについて興味深いので、書きたいところではありますが、スペースの関係で今年の分だけ。

 

今年の受賞理由が、

「洞窟棲昆虫におけるメスの陰茎(ペニス)とオスの膣(ヴァギナ)の発見」とされています。

 

(ってかこれ、ブログで書いて、弾かれへんのかな・・・ということで、以下、ちゃんと生物学的にちゃんとした研究の紹介ですが、一見すると下ネタ風の単語が並びます。そういうものに抵抗のある方はブラウザバックを推奨します)

 

 

 

 

 

 

つまり通常の性別であるはずの生殖器が逆転しているという奇妙な昆虫がいたというのも。その昆虫が、「トリカヘチャタテ」というやつらです。

 

メスが伸縮可能なペニス様の生殖器をもち、挿入側の立場として存在し、その生殖器の形状?は、複雑で多様になっているとのこと。

一方オスの方は挿入される側なのですが、挿入する側のメスから卵子が受け渡されるかというとそういうわけでは無く

 

やはり、オス→メスへ精子が受け渡されるというのが興味深い点。(精子と一緒に栄養物質もオスから受け渡されるそうです)

 

つまり、メスは生殖器を伸ばして挿入するものの、あくまで「もらう側」。

 

プレスリリースによると、この「栄養物質」の獲得競争(メス同士)の過程で、こういったメスのペニスという現象が起こったのだろうと。

 

あれですね、さながら、バーゲンセールとかお目当のものが欲しくてダッシュしたり手を伸ばしたりして、「くれくれくれ!!」と群がってる人のようですね。

 

オスよりもメスの方が交尾に積極的なようというのも、「性とは何か」ということを考える上で重要となると書かれていました。

 

 

なぜこれが奇妙で興味深いかというと、単に生殖器が逆転しているというだけではなく、

普通、卵子というのは作ることに精子以上にコストがかかるもので、その数も限られています。

精子側は数打ちゃ当たる作戦で受精にこぎつけられれば良いわけです。

 

つまりメスは待つ側で、大量の精子を作ることができ、数打ちゃ当たるが可能なオスの方が交尾に積極的

というのが従来の考え方なのです。

 

もちろん、最終的にオスからメスに受け渡されるというところはこのトリカヘチャタテでも同じですが、

メスが積極的にオスへ精子をもらいに行くというところが「面白い」だけではなく「考えさせる」ということでイグノーベル賞になったのでしょう。

 

(参考)

北海道大学プレスリリース

新着情報: 吉澤和徳准教授(農学研究院)が2017年イグ・ノーベル賞を受賞!

 

英語の元論文

http://www.cell.com/current-biology/abstract/S0960-9822(14)00314-5

 

そもそも有性生殖(オスメスのある生殖)自体が無性生殖(細菌などの分裂とか出芽とか)よりも、(繁殖速度・効率などにおいて)「2倍のコスト」がかかると言われています。

 

出会えなければ意味がないし、オスメスそろってようやく子供を残せ、

またメスが生まれる確率は(基本的に)50%・・・というのでは

 

なんで性別というものが必要なのか・・・?

という一見パラドックスのように見えるこの有性生殖

 

また別の機会にちゃんと解説できるといいなぁ。(ちなみに、赤の女王仮説という名前のついた仮説の一部であったり、性の進化ということで関連書籍は色々あります)

たとえば、「赤の女王 性とヒトの進化」とか。

 

 

というわけで今日はこの辺で。

 

終わり