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フラスコを振りながら

某大の博士課程の院生の日記です。科学や(自分の専門の)生物をもっと楽しんでもらいたい。

さいきんのさいきんの話、書きます

こんにちは(こんばんは),nkjmyです。

 

最近知ったんですが、アドベントカレンダーって面白いですね。

特定のテーマについていろんな人が「自分かけます」みたいな感じで

1日1人、誰かが何かを書くという。

 

 

今年、私は2つほど参加しておりまして、

1つが

今年読んだ一番好きな論文2016 Advent Calendar 2016 - Adventar

もう1つが

伝道師になろう! Advent Calendar 2016 - Adventar

です。

 

 最初の一番好きな論文の方は、某短文をつぶやくSNS上で院生を応援してくださる企画?ということで面白いプレゼンをした(ブログやスライドを作るという意味ですが)人に賞品がもらえるというものです。

 

12/18にスライドを作成しまして

まぁこれです。
他にも面白い記事がありますので、ぜひ。26、27日は人気投票もあります!
 
さて、もう1つのアドベントカレンダー、お友達、お知り合いも色々と記事を書いていて、「好きを伝えたい」ということでこうして2つ目(ちゃっかり前回のポケモン種数推定公式も登録しちゃってます笑)書いているわけで。
 
↑のもそうなんですが、ブログで書くとどうしても駄文の量が増えるのでさくさく「さいきんのさいきんの話」を書きつつ、「微生物の多様なキャラ」の魅力について書こうかなと。
 
 
とりあえず、さいきんの話としては、どう考えてもこれを書かずには始まらない

J・キャメロン監督と和歌山高専 地球最深部で最圧好む新種バクテリア発見 (THE PAGE) - Yahoo!ニュース

 

微生物といってみなさんが思い浮かべるのは、「病原」「発酵」

知ってる細菌(微生物と細菌では意味が異なりますが、以降、細菌で通します)というと

大腸菌、乳酸菌、納豆菌・・・うーん、あとは・・・

 

みたいな感じではないでしょうか?

 

しかし、細菌はそんなもんじゃない!!むしろ地球に恐ろしくたくさんいる中のほんの一握りだけがそうやって有効利用されたり人に害を与えたりする・・・

 

では残りの大多数は環境中で何をしているのか?

そもそもどこにだれがどれくらいいるのか・・・?

こういったことを明らかにしようとするのが私の研究分野である微生物生態学であり、

今回「おもしろい!」と伝えたいものです。

 

上記の記事では、有効利用の可能性も見据えたような文章ですが、

そもそもは「生命の生息限界」であるとか「深海にはなにがいるのか」といったモチベーションがあってこその研究だと思うのです

 

そんな中で見つかった、超好圧菌(好冷絶対好圧性細菌)

 

冷たい環境に生息していて、常圧ではなく、深海のような圧力が特に高いところでしか生きられない(絶対好圧性)という細菌です

 

このColwelliaという細菌、面白いもので(論文を読めば詳しいですが、とりあえず記事中の図3)、

近縁のColwelliaには表層のほぼ常圧に生息しているやつが居たかと思えば、

地球最強(クラス)の絶対好圧性もいるという・・・

 

少し、面白い性質を持つ細菌に興味が出て来たのではないでしょうか?

 

人の想像できないあるいは、人が暮らしていくには無理すぎる極限環境に生きる細菌たちは「圧力」に限りません。

 

例えば「温度」それも「高温」だとどうでしょう?

 

好熱性細菌と呼ばれるものは温泉や深海の熱水が吹き出すようなところに生息しています

 

Methanopyrus kandleri という古細菌(細菌ではない)は100度以上でも増殖ができ、とある株は122度という記録を持っています

 

われわれは気温でいうと35度超えるとゲーゲー言いながら過ごしますし、

温泉に入ると言っても40度を超えると長時間浸かっていられなくなりますよね。

 

100度を超えるのはワールドレコーダー?にせよ、

それ以外にも普通に?50度、60度、90度といった温度で増えられる、

むしろ30度くらいだとダメなやつはたくさんいるのです。

 

このペースで紹介していくとですね、5000文字、6000文字かかりそうなので(今1660文字)羅列で、

「この本・・・細菌がすごい大賞2016」とばかりに色々書き連ねていきます

 

本当なら2016年に分離された細菌だけを対象にしたかったんですが、そこまで新種発見ばっかりにアンテナ張ってられんので、「2016」に意味はありません。

 

Tersicoccus phoenicis:NASAスペースシャトルを組み立てるようなクリーンルームの床から見つかった。UVとか過酸化水素などによる殺菌処理したはずの床やのに・・・

 

Deinococcus dadiodurans:放射線耐性をもつ。人の致死量の数百倍を暴露しても生存可能

(この種に限らず、こいつの属するグループはこの耐性を持つものが多い)

地球環境にそんな環境ないようなオーバースペックなのは、元々は乾燥耐性だったからでは?との説が。

 

Ca. Desulforudis audaxviator:培養されていないので正式な名前ではない(Ca.)

地下2?3?kmの地下に生息。こいつらの周辺にはこいつら以外の生物は全くいない、

「こいつらのこいつらによるこいつらのための生態系」ができている

周りの鉱物(無機物)とかウラン崩壊の放射線エネルギーによるイオンの産生が起こることで必要なものを取り込んでるらしい

 

Delftia acidovorans:環境中から(薄く溶けている)金を取り込み、体内で粒子にできる(貝が真珠をつくるようなもの)。「金の卵を産む細菌」とちょっっっっとだけ話題になった。環境中に溶けてる金の濃度的に、金儲けはできない。

 

Prochlorococcus sp.:変な性質っていうか、地球上でもっとも個体数の多い細菌とも言われてる。10の27乗細胞(匹)っていう見積もりをどこかで見た。

 

Ca. Carsonella ruddii:これも培養できていない。ゲノム(全遺伝情報)のサイズが最小と言われている。15万塩基(文字)。その辺の細菌が200万とか500万で、ヒトが30億というのを考えるといかに小さいか・・・。なんならウイルス並み。

昆虫の体内に共生しているので普通だと必須の遺伝子の多くがない。純粋培養できひんやろから、Ca.がとれることはないかも。

 

Thiomargarita namibiensis:(今のところ?)一番でっかい細菌。0.75mmにもなる細菌で、微生物は肉眼の限界約0.2mm以下のサイズである生物のことをいうので、

もはや、「微生物ちゃうやん」というやつ

 

Mycoplasma genitalium:俗にいう、マイコプラズマ。寄生性で↑のカルソネラのようにとにかくゲノムサイズが小さい。58万塩基くらい。

にもかかわらず、純粋培養できるので、名前は正式なもので、Ca.がついていない。(純粋培養できる中では最小)

細菌にあるはずの細胞壁がないため、一部の抗生物質が効かない。

 

Sorangium cellulosum:逆にゲノムサイズが(いまのところ)一番でかいやつ。1480万塩基。つまり細菌は15万〜1480万のだいたい100倍くらいの差がある。

 

Microbacterium hatanonis:ヘアスプレー缶の中から見つかったらしい。栄養なんてないので、そこで育ってたというより、耐えていたとかそういう感じではないかな?と思ってる。

 

Alkaliphilus transvaalensis:pH=12.5でも増殖できる、極端に塩基性アルカリ性)に強い。もう12.5って身近なもので例えられんので、どうしようもない・・・

アンモニア水でも10〜11くらい。

 

Picrophilus oshimae:逆に極端な酸性でも増殖できる。(こいつは古細菌)

なんとpH=-0.06。pHの値は対数なので、マイナスにもなるけど、「マイナスになるんや・・・」というくらい酸性。塩酸とか硫酸とかそういう強さ。

 

Escherichia marmotae:大腸菌Escherichia coli)に近縁な種で2015年に、マーモット(マーモット - Wikipedia)の顔の表面?から見つかったというもの。

なぜマーモットの顔面を調べようと思ったのかその動機が不明・・・。

ちなみにEscherichia属は大腸菌が圧倒的に有名やけど、全部で8種しか知られていない。

 

Magnetospirillum magnetotacticum:↑の金の粒子をつくるやつみたいに、体内に磁石を作る細菌。Magneto~~とつくやつは他にもいて、磁石を作る。

 

 

とまぁ、こんな感じで、変な環境にいる、変な性質を持つ細菌をひたすら列挙してみました。

推しメン的な・・・?笑

 

 

さて、この記事で伝えたいのは、

微生物(細菌)は病気と発酵に関わるものだけではなく、環境中にはまだまだ未知の面白い奴らがいるということ

生物の生き様の多様性の面白さ

といったところでしょうか。

 

細菌は、最近はちょっと本屋を探せば、こういった多様な細菌の世界を知ることができる本などもありますので、是非とも「生物」のコーナーをのぞいてみてください。

 

 

ではでは

 

 

今日はこの辺で

 

終わり