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フラスコを振りながら

某大の博士課程の院生の日記です。科学や(自分の専門の)生物をもっと楽しんでもらいたい。

「それって何の役に立つの」について考えた

教育 雑談

こんばんは。なんか今日、夏が戻ってきたかのような暑さなんですけど、

今週の天気どうなんです?

9月終わりますで。

 

さて、今日も(今日は?)少しまじめなトピック。もう、往年の話題すぎて「もういいよ」と思われる方もいるかもですが、

最近、某短文をつぶやくSNSで流れてきたはてなブログの記事で興味深い記事を見つけたので、それに感化されて?書いてみることに。

 

 

その記事というのがこちら

おそらく、2、3回?数学系のイベントを聞きに行った際に同じ会場におられたはずなので、

なんとなくどなたかはわかるのですが・・・くらいのレベルで面識はあまり無いのですが・・・。

 

やはり、ブログタイトルにあるように、一度会社就職を経て院に戻られただけあって、面白い記事でした。

 

 

さて、

 

 

私から言うことはありません

 

 

 

って書くと、「は?」ってなるので、数学とはまた違う、「微生物屋」(それも基礎研寄り)から、この「役に立つかどうか問題」を書いてみようかと。

 

大筋では主張の方向は同じなんですが、例えば、

 

「役に立つ」という言葉の裏にある思惑にも種類があるのでは?

 

と思うのです。

「数学が何の役に立つ?」と疑っている人でも、数学が本当に何の役にも立ってないとは思ってないはずです。科学者や技術者が数学を使ってることは知っているだろうし、現代の生活を支える技術に何かしら数学が関わっていることも想像できるはず。

 

これは数学という学問の性質なのかもしれませんが、

私個人あるいは研究分野が近い人が「何の役に立つの?」と聞かれる際には、

もっと、「応用面」そのものを聞いているように思います。

 

たとえば、

食料問題を解決するとか、美味しい品種を作れるとか、

病気を治せるとか、家の電化製品がもっと便利になるとか。

 

 

そういう研究ちゃうん?

じゃあこの研究の先に何があるん?

 

というニュアンスがちらついているのかなと。

 

なので、(特に)基礎研究寄り(生物系に限らず)の人達の中には

「いやー、役には立たないんですよねー」と答える人がいるんでしょう。

 

これを自分なりの解釈で勝手に補完しますと、

 

「いやー、(そういう直ぐに利益をもたらすという意味では)役に立たないんです(が、長い目でみると立つかもしれませんし、派生した分野や技術が役に立つかもしれないんです)よねー」

 

くらいでしょうか。

 

 

それなら、そう言えよ感はひしひしと感じますが。

 

なので、

生きていく上では何かしら社会の役に立っていくことは必要なので、「役に立たなくたって良い」なんていうのは大人として無責任だと思います。

 

「役に立たなくてもいいし、自分の興味の赴くまま、研究やります」という逃げというよりかは、

私自身はもう少し、(なんて言っていいかわからへんけど)信じています。

 

 

あるいは、

自分は、上記の補完verでいうこともあれば、

 

「スポーツや音楽、芸術のように、人々を感動させたりワクワクさせたりする性質に近いですかね。ほら、宇宙の研究とかもそうじゃないですか」

と、宇宙系の皆さんを巻き込むこともあれば、

 

個人的に説明に都合が良かった(失礼ながら・・・)ニュースとして、

昨年ノーベル生理・医学賞を受賞された大村先生の研究があります。

 

受賞のきっかけとなったイベルメクチン、

もともと、ゴルフ場の土?から見つかった新種の放線菌(というグループの細菌)が作り出す物質を元に薬としたものです。

 

つまり、ざっくり流れをいうと

 

とある環境から微生物を採ってきてそれを調べて薬を作る

 

になりますが、我々の研究室だと、

 

とある環境から微生物を採ってきてそれを調べる  あるいは

とある環境にいる微生物を丸ごと調べて、その生態系を把握する

 

のような感じと説明しますね。

 

そうすると、(もちろん、薬などの元を探しているわけでは無いという補足はしないといけませんが)聞いてくる人の理解も一歩進むように思っています。(検証不足)

 

 

マニアックなことですが、

同じ放線菌(個人的にはアクチノバクテリアという言い方のほうがしっくりくる)を調べるにしても、

例えば我々の領域だと、

 

・そもそもなぜこのグループが抗生物質や薬の元なんてものを作るのか?

(これまで発見された物質のうち2/3はこのグループ由来というほど)

・なぜ(抗生物質を作る主なグループ)Streptomyces属は1属600種以上にまで多様なのか?

(この属を含む”科”には200属あって、合計2200種知られているのに、1属600種は異常で不均一すぎる。種ってなんやねん!的な)

 

とかそういう生態的あるいは進化的な疑問を解決したくなる人がいるイメージです

 

 

自分も今、このアクチノバクテリア門(属とか科よりもっと上)を使っている実験がありますが、

 

やつは薬の元を作ることは無いでしょう。

病原菌でもありません。

食べられません。

 

しかし、生態系を一番土台で支える微生物たちの生き様を理解する上で、

重要なモデル生物だと思っていますし、

しかるべき結果が出て、適切な方法で伝えることさえできれば、

 

それは、一般の方でもワクワクさせることができますし、

そうして「微生物」あるいは「生物学」「科学」に興味を持った誰かが、

次の「何か」を生み出せば、

この研究も「役に立つ」

 

 

自分でもやっている新種探索、新種記載・・・

自分自身のターゲットとなる遺伝子は持っていなくても、

だれかがそのグループの細菌を調べた時に一緒に調べられ、

それが新しい知見を生み出すことだって0ではないわけで。

 

 

この言い方でもまだアレなのかもしれませんが、

「今は役に立ちませんが、将来役に立つかもしれません。それは人を感動させ、ワクワクさせるという役立ち方かもしれません」

 

今の時点では、こういう回答があるのかなって思いました。

 

 

ではでは

 

今日はこの辺で

 

 

終わり